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ホテルの客室は再来年までの全国で1.2倍に
調査会社CBREやニッセイ基礎研がすでに発表しているが、インバウンド顧客
をあてにしたホテルの増加は凄まじく、今年はじめからの3年ほどの間に客室数が
1.2倍程度になるようだ。
京都のような極端なところでは1.5倍になるということだ。
これは、「なるかもしれない」ではなく、届け出ベースの集計なので
確実に起こる未来の話である。
客室供給が増えるとどうなるか?
客室供給が増えるとどうなるだろうか?
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客室価格が下落する
需要が一定であるとすると、供給が増えれば価格は下落する。
今までは需要を満たしていなかったので、というかもしれないけれど、
今までだって価格が無限につり上がっていたわけではない。
局所的な供給不足があったとしても、「宿泊できなかった、野宿した」
インバウンド顧客が沢山いるわけではない。当たり前のことだが、分かっていない方が多い。投資効率から
価格を逆算するので、そんなに簡単には価格を下げられないのだ。供給が増えれば価格は下落する
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仕入れ量(必要資源の調達量)が増える
調達量の増加には、2つの正反対の要因がある
- 仕入れの増加により仕入れ価格が下る
供給が過剰であったり、供給量の増加が容易なものについては、
規模の経済で生産効率が向上したり、または、仕入れ量の増加に
より価格交渉力が増加したりするから。 - 仕入れ(調達)の増加により調達が困難になったり調達価格が上昇する
問題はこれ、だ。必要資源の調達量が増えたことで、価格が上がったり、
調達自体が困難化する
- 仕入れの増加により仕入れ価格が下る
客室供給が増えで運営が困難になる
すでに各地で起きていることだが、この「調達困難で、生産性が向上しにくい
資源」とは「人材」のことである。
特にリゾート地のようなところでは、客室清掃が困難になってきている。
清掃を新規に依頼できなくなったり、既存の清掃の値上げ、撤退も起こっている。
軽井沢のようなリゾート地では、以前から清掃人員が不足していて、
清掃業者さんたちは、自前の送迎車で、近隣(軽井沢であれば、佐久、
安中など、草津であれば、中之条など)からのスタッフの送迎を
行っていた。
軽井沢と安中も、草津と中之条も車で1時間ほどの距離。
スタッフの皆さんは、10時から13時頃まで、5時間働くために
7時間掛けていたのである。
人材が不足しているのは、宿泊業、清掃だけではないから、
いくら送迎付きとはいえ、もっと近くのもっと割の良いところへ
行ってしまうだろう。送迎時間も賃金を支払う清掃業者さんも
出てきているという。
全く同じ時給を移動時間にも支払うとするならば、仮に
スタッフ全員が上記の5時間労働、7時間賃金だったら、
清掃の人件費は、1.4倍になってしまう。
こんなコストを掛けて成り立つほど清掃業者さんたちは貰っていない
のだ。撤退するところが出るのは当然だ。
「なんでそんなにコストアップするのだ」という人は少し考えた方が
良い。
危機的状況である。
つづく
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