本日の朝日新聞朝刊に、

「ブランド米、各地に新作」

という記事がありました。

米の国内消費が毎年減少する中で、生き残り競争が激化、という内容です。

Contents

ブランド米とは何か?

ブランド米とは、「銘柄米」のことで、デジタル大辞泉によれば、

「特定の品種や産地を指定して商品化した米」のこととのことです。

銘柄米は、「一般財団法人日本穀物検定協会」

というところが、「米の食味ランキング」を毎年発表しており、米のおいしさ

が、毎年ランク付けされています。

平成26年のランキングはこちら

基準の見ると、コシヒカリのブレンド米が基準でA、それより良いと特A

となるそうです。

なぜ、ブランド米を開発するのか?

ブランド米の新種開発の目的は恐らく下記の2つ。

① シェア獲得(販売量拡大)

② 単価アップ

では、1つずつご説明いたします。

① シェア獲得

シェア獲得が必要なのは、記事にもあったように、国内の米全体の消費量が
減少しているから、です。

全体のパイが減少する中、売り上げを維持しようと思ったら、シェアをとる
(他ブランドからスイッチさせる)しかありません。

② 単価アップ

単価のアップは、もちろん、市場のパイが減少し、シェアの争いになったら
必ず狙われるものです。農作物の単価は、ブランドによる価値アップの他に
「生産量」(収穫量)により大きく左右されます。

米がブランド化するのは、実は、サービス商品などと同じように「食べて見ないと
わからない」からです。

「識別、品質保証」というブランドの基本的な機能を求めてる訳です。

ブランド米開発競争はどうなるのか?

実は、一つのカテゴリーに存在しうる強いブランドの、というのは、そんなに
多くはありません。

朝日の記事には、2014年産の特Aランク銘柄、ということで、18個銘柄が載っていま
したが、私の知っていたのは5つ、です。

食味というのは「絶対評価」なので、基準のコシヒカリを超えたものが多く出てくれば、
特Aの銘柄数が増えてしまいます。

特Aの銘柄が増えると、だんだんとブランドの意味はなくなります。

「何でもおいしいじゃん」となるのです。

何でもおいしい、から「コシヒカリ」のブランド力が落ちてきているのかもしれません。

新潟の温泉では、やっぱり「コシヒカリ」でしょ、というお話をしましたが、今や

コシヒカリは全国で普通に手に入ります。適当に炊いた魚沼産コシヒカリより

気を遣って炊いた普通の米の方が美味しい。とするなら、ただ「コシヒカリです」

ではもはや売り物になりません。コシヒカリのブランド力も落ちたな、と思いました。

今後は「飛び抜けて」美味しい米が生まれるとも思えないので、これだけブランドが

乱立した状態では、食味を背景にしたブランドによる差別化は限界でしょう。

旅館ホテルはブランドをどう考えるのか?

米の他にも、宿泊施設が食材のブランドについて、悩むことは多いと思います。

たとえば

  • ブランド牛肉、豚肉
  • ブランド鱒(全国にあります)
  • ブランド野菜
  • ブランド海産物

私の様に、全国を歩くと、地元のブランド商品を「全国どこでも」持っている
ことがわかります。米と同じです。

ひとめぼれのご飯です。

で売れないのと同じ様に

信州牛、越後もち豚、上州麦豚 です。

と言ってもそれだけではインパクトが薄いです。ホテル、旅館なら周りの施設
も同じ食材を使っています。

見て美味しそうな演出が大切になるのはこうした理由です。