さて、今回は、あれほどに「エージェント」を目の敵にしていた星
野リゾートが、最近はエージェントと組んで様々な企画を打ってい
る、と言うことについてお話ししたいと思います。
私は現在は星野リゾートに勤務している訳ではありませんので詳し
い事情はわからないとも言えるのですが、星野社長のお考えは想像
が付きますので、少し解説してみたいと思います。
<なぜ「エージェント」が嫌いであったのか?>
星野社長がエージェント嫌いであったのは、「大したことをしない
のに、手数料をたくさん取るから」というのが基本であったのだと
思います。リピート顧客を中心にしてやっていく、と言うのも「大
手エージェントに依存しない集客」を目指してのことでしたし、自
社でエージェントを作ったり、それでの集客を目指したり、もして
いたと思います。
 エージェントにとっては、どこのホテルに集客しようと関係がな
いので、ほとんどのホテルは「その他大勢」に過ぎず、星野リゾー
トもそうだったのです。
<何故、エージェントを使うようになったのか?>
 ではなぜエージェントを使うようになったのでしょうか?
それは非常に簡単に言うと「エージェントが相手にしてくれるレベ
ルに星野リゾートがなった」からだと思います。
 星野リゾートの施設を扱うことに、エージェントにとっての他の
施設とは違うメリットが出来てきたからだと思います。
 星野リゾートは「大手エージェントと交渉出来る」レベルになっ
てきたのです。
(これには疑問もあります。星野リゾートの評判の多くは、実は実
際のサービスにあるのではなく、”運営方法”などにあり、従って、
星野リゾートの評価はまだ”経営に関心のある人たち”の間のもの
であるからです。旅行業界や、企業経営に関心のあるビジネスマン
を除くと、星野リゾートについて知る人はまだまだ少ないと思いま
す。星野リゾートもこれを解っているから、今まで行わなかった”
星野リゾート”の名前を最近は”冠に付ける”様にしています。た
だ、これもダブルチョップの様になっていて効果的ではなかったの
か?最近は、旅館名そのものを統一しようという動きもあるようで
す。)
<ここから何を学ぶのか?>
 旅館と大手エージェントの関係は、「やたらたくさんある旅館の
中の一つの旅館」と「大きなエージェント」の関係であることが多
いのです。旅館の規模が問題なのではありません。客室数が少なく
ても「何とかこの旅館の部屋を確保したい」という旅館はあるもの
です。
当たり前のことですが、私たちが、エージェントに販売をしてもら
うとき、「エージェントにとっての販売するメリットは何なのか
?」を考えなければなりません。そこが、エージェントをうまく使
うための肝です。
「エージェントにとっての販売するメリットは何なのか」を考える
ことは、言うまでもなく、貴方の旅館のポジションを考えることに
なります。エージェントにとってのメリットとは、結局は「顧客が
どう考えるのか」がその主要な要素であるからです。
そんな難しいこと、、、
難しく、大きく考えると確かに、ものすごく大変だし、「そんなも
の無いよ」となってしまうかも知れません。でも、御社のところに
「全く」お客さまが来ていないのではないのなら、何かしらお客さ
まが御社を選んだ理由があるはずです。
XXと言う温泉地の中では
・ 一番XXに近かった
・ 価格が手頃だった
・ お風呂が時間貸し切りだった
・ お客さまが少なくて落ち着けそうだった
・ 我が儘を聞いてくれた
・ 食事のXXが美味しそうだった
等々、何かあるはずです。その何かを探し出してその部分を強調し
て販売することが出来れば、販売するメリットが出来ます。お客さ
まのニーズと一対一の対応関係をエージェントの中で創ることが出
来れば「XX」と言われたらA旅館に、となるわけです。
そうならないと、やっぱりたくさんある中から、あみだくじで決め
る旅館の一つになってしまいます。
何か探し出しましょう。