前回まで、震災に関連してホテル、旅館の経営をどのような方向に
持って行ったら良いのか?についてお話をして参りました。
ちょうどお話ししてきたようなことが、日経ビジネスオンライン、
ダイヤモンドオンラインなどにに連続して取り上げられておりまし
たのでご紹介したいと思います。
記事1
今こそ、血みどろのシェア争いを勝ち抜け
http://business.nikkeibp.co.jp/article/money/20110610/220677
/
この記事には先日書いたような製造業が今後直面するであろう状況
が書かれています。
記事2
阪神大震災の教訓が活かせるか
「時間との戦い」に苦しむ
被災中小企業の今と真の救済策
――加藤恵正・兵庫県立大学教授に聞く
http://diamond.jp/articles/-/12725?page=5
この記事には同業他社とのネットワークが必要、普段から準備すべ
き、と言ったことが書かれています。
また、ネットワークについては、本日の「カンブリア宮殿」でCG
Cと言う中小スーパーのチェーンの話が出ておりました。
今回は、このCGCのお話を参考にしながら本気で「温泉旅館の連
合」について考えてみたいと思います。
CGCチェーンの目的は「中小スーパーの生き残り」だそうです。
生き残るため、大手に対抗するためには中小のスーパーの規模では
駄目で、ある程度の規模が必要、ということで始まったそうです。
私の住んでいる長野県には、CGCグループの中核メンバーである
「ツルヤ」というすばらしいスーパーがあります。「ツルヤ」には
多くの「ツルヤオリジナル」商品がある一方でCGCの商品も置か
れています。非常に「緩やかな連合」であることが分かります。
この「緩やか」というところが大切です。
CGCグループは各地区の地場の有力なスーパーが加盟しています。
ただ、皆さんも実感しておられるかも知れませんが、各地区では有
力であってもなかなか情報も入らないでしょうし、ナショナルブラ
ンドのメーカーとの交渉は難しいのが現実でしょう。何かシステム
を入れる、と言っても、規模の問題でなかなか思い切った投資はし
にくいのかも知れません。
そんな中で、CGCは、加盟スーパーを増やし、今ではイオングル
ープに列ぶ購買力を持っています。また、各地区の有力なスーパー
の連合体になっていることで、各地区の情報はおそらくナショナル
チェーンよりも入りやすいでしょうし、それぞれの地区での影響力
もナショナルチェーンより大きいかも知れません。そして、地域色
を出す必要のない、ナショナルブランドの購買力は、イオン並にな
ってきているのです。
なかなか「いいとこ取り」をしているのではないか?と思います。
もちろんそのほかにも独自商品の開発なども行っているようですが、
番組の中では「なかなか意見を一致させるのが難しい」とのことで
した。ですが、この「地域による違い」をより濃く意識することが
できる、と言うのは実はメリットなのではないかと思います。番組
地中に取り上げられた「唐揚げ」のようなものであっても、それこ
そ「地域フェア」などと称して、週替わりで各地区の独自の唐揚げ
を全体で出してみる手もあるでしょうし、その中から多くの総菜に
関するヒントが得られることと思います。
旅館に関しても全く同じようなことができるのではないか?と思っ
ています。地域の観光協会や観光連合のようなものではなく、独自
のチェーンをつくり、共同で仕入れるべきものは仕入れ、共同で販
売できる物は共同で販売するのです。
例えば、広告媒体に関しても、今までゆこゆこさん経由で出してい
た新聞などを、コーぺラティブチェーンで購入し、広告出稿するこ
とにすればだいぶ広告費単価を下げることができるはずです。
アメニティに関しても質の高い物を安価で仕入れることができるで
しょうし、メーカーと直接話をすることができるようになるかも知
れません。もちろん地域ごとに地元で仕入れる物は仕入れ続けなが
ら、地域差のないものについては、集中仕入れでコストダウンを図
る、と言うことが、緩やかなチェーンでは可能になるでしょう。特
に「加盟店」であることをことさらに表示する必要もないでしょう
し、屋号を変える必要もありません。
今まで安い食材の仕入れを行うために「その代わり食材は一括して
我々に発注してください」と言われたことのある方もいらっしゃる
かも知れません。地場の物を仕入れない旅館というのも魅力がない
ので「それはちょっとできないよなあ」と思われた方もあるでしょ
う。考えると全く、「地場のスーパー」と同じような状況ではない
でしょうか?
同じような「連合」で規模の小ささを補っている例は他にもありま
す。例えばコーヒーの「味方塾」さんです。中心メンバーの丸山珈
琲、丸山さんは世界中のコンクールに国際審査員として参加し、産
地から直接コーヒーを仕入れていますが、仕入れの単位が原則「1
コンテナ」と大きいため、とても一つのコーヒー店だけで仕入れら
れるものではなかった、ということで、各地のコーヒー店と連合を
組んで豆の融通を行っておられます。こうすることで軽井沢町のコ
ーヒー店である、丸山珈琲さんが、スターバックスと競り合ってす
ばらしい豆を落札することができるのです。
規模が小さくても集まればそれなりの規模にすることができます。
皆さんも考えてみませんか?
参加ご希望の旅館がありましたらお問い合わせください。