今回は、ネットエージェントについて考えてみたいと思います。
ネットエージェントは今やほとんどの旅館、ホテルでの集客の中心、
少なくとも数では中心ではなくても日頃の集客作業の多くの時間を
使う対象になっているはずです。
==ネットエージェントの媒体特性==
ネットエージェントは、以前お話ししたように「同じような旅館が
直接比較される」ところです。
「認識できる違いだけが違いである」と言うお話をいたしましたが、
新聞の様に「他のものと比較する」対象が少ない場合は、差を認識
させることが難しく、大きく違わないと違いとは言えない、と言う
側面があります。隣にあるものと比較をするのは簡単なことですが、
「記憶の中の他社」と比較をする場合には、小さな違いに気がつく
のは困難でしょう。
新聞では10円20円安い宿泊プランでは駄目で、千円単位の違い
(何千円台なのか?)が問題になるのです。
ところが、ウェブの様に直接の比較が可能になると「少しの違い」
を「違い」と認識して選択する、と言うことが起こります。カカク
コムを見ても分かるように、ああいう比較のされ方をすると、「細
かい違いも違いとして認識されるもの」です。10円の違いでも
「どうせ中身が分からないなら10円でも安い方が良い」という考
え方もあります。
==ネットエージェントの問題==
ネットエージェントを使って告知を行うなら、小さな違いも違いと
して認識されそうです。では、問題はどこにあるのでしょうか?
たとえば、あなたの旅館、ホテルのある「温泉地」のページを訪れ
る人が1日何人くらいいるか、ご存じでしょうか?
ページビューではなく、ユーザー、ビジットなどと呼ばれているも
のの数、です。
これが、あなたの旅館の取りうる最大値です。これを同じページに
掲示される旅館の数で割り、平均の成約率をかければ、平均の成約
件数が出せます。
この数字は、どうでしょう?
思ったよりも少なくないでしょうか?
ネットエージェントを使う場合は、新聞などの様に直接に自社で集
客しよう、と言うのとは違い「そのカテゴリーの中で如何に自分の
旅館を選んでもらうか」に集中するしかないのです。だから、元々
のパイの大きさがどのくらいなのか?は気にしないといけません。
==販売チャネル戦略==
エリアの平均成約件数は
エリアのユーザー数Xエリア内シェアX成約率
です。
あなたの必要な集客が、あなたの旅館のエリアにおけるシェア90
%でないと達成できないのか?件数で割ったもの(平均的なシェ
ア)で達成できるのか?によって対処を変えないといけないはずで
す。
チャネル別の販売戦略を立てる、とはこういうことだと思います。
ネットエージェントが重要なら、それなりの対策を取らなければな
りません。それなりの対策とは「エリア内シェアのアップ」と「成
約率のアップ」に対する対策です。
==エリア内のシェアアップ==
旅館は一般に地元密着であり、エリア内の他の旅館は「お隣さん」
だったりするのですが、エリア内のシェアアップの為には、
「エリア内で競争している他社よりも良い(お得な、選んでもらえ
る)商品を出す」しかありません。
他社よりもきれいな写真を掲載し、他社よりもお得なプランを出し、
他社よりも良い食事を提供するのです。
「はっきりと違いが分かる」様にです。
「食事の写真」も「施設の写真」も「お風呂の写真」も「特典の内
容、数」も他社と同等以上になったら、あとは「価格」しかありま
せん。
当初から、ネットエージェント、雑誌などには否定的なことを書い
てきましたが、「ここで勝負する」と決めたなら、そこでのルール
に従って戦うしかありません。
お隣の○○さん、と戦うことになっても仕方ありません。少しでも
エリアのある他のホテル・旅館よりもたくさん、と思ったら、戦う
しかありません。そうでなければ、エリア内すべての旅館が「旅館
の数で割ったシェア」の様なもので満足しなければなりません。
エリア内でのシェアアップの方法はこのようにかなり「内容が明
白」なものです。相手がはっきりしているからです。
==成約率のアップ==
成約率のアップは上記ほど簡単ではありません。結局、お客様は最
終的に旅館・ホテルを決定する前に近隣のエリアとの比較をしたり
するからです。エリア内で最も良い商品を販売できても、他のエリ
アには「もっと良い商品を提供している」旅館・ホテルがたくさん
あるのです。
ここは難しいので、また別途ご説明したいと思います。