4月下旬の観光経済新聞の一面に「お金は遣うべきだ。自粛ムード
は暗くなるだけ」
とありました。。
観光業界の本音であると同時に、多くの観光業界人は「この程度な
のか?」と思ってしまいます。。
一方で、中面には、飯島綜研の孫田社長が、「旅館の社会的役割と
は」と題して「個人、仲間の絆を深める」プランの紹介をなさって
います。
この業界の方としては本当に賢い(長く部下をさせて頂いたのでよ
く分かります)星野リゾートの星野社長は(あえて”星野リゾー
ト”ではなく、星野社長と書かせて頂きますが)いち早く「家族」
「絆」の様なコンセプトのプランを打ち出されていました。
基本的なことですが、マーケットは「ベクトル」「流れ」なのです。
我々の様なきわめて市場全体への影響力の小さい(一つ一つが小さ
い)ものが、市場全体の流れである「自粛」「お金を遣わない」に
対して「流れを変化させよう」などと思うべきではないと思います。
先日書かせて頂いた「インバウンド」の話と同じことで「状況をき
ちんと把握して受け入れ、その上で対処を考える」ことでしか生き
残ることはできません。
「お金を遣わない」のは「本当に自粛しているから」なのでしょう
か?
多くの方が失業し、家族を失い、原発の被害に悩まされる
と言う状況の中では「不要不急の支出を抑えたい」と思うのは当た
り前のことです。被災地の方々のことを気遣う気持ちもあると思い
ますが、自分自身、家族の将来に対する不安が消費しようと言う気
持ちを押しとどめているのではないでしょうか?
そんなときに「お金は遣うべきだ」って言うのは、一体誰に向かっ
てそれをいっているのだろう?と疑問に思います。
「お金は遣うべき」ではなく「お金を遣って頂くにはどうしたら良
いか」「何にならお金を遣って頂けるのか」を考えなければなりま
せん。
そう考えると「身近な人との絆」というのはとても琴線に触れるこ
とだと思います。おそらく今年の「母の日、父の日」関連の売り上
げも、この「絆」に関連することなのでそんなに落ちないのではな
いか、と思います。
旅行業界で「自粛ムード解消」とか言ってもおそらく効果はないの
で(お客様の同情を買いたい、と言うのなら分かりますが)、「絆
の再確認」などの方が良いのではないでしょうか?
家族との「今」は本当に「今しかない」。
「子供の今」は「来年にはない」
(未来がない、と言うことではなく、成長するから、です)
本当に貴重な仲間、家族とのひとときをこんな時だから大切にした
い、というのはあるのではないか?と思います。
GWになり、人も動き始めています。みなさんほっと一息かも知れ
ません。
原発も、震災もだんだんに初期のショックが薄れてきたので、人も
これから少し動く始めるかも知れません。しかし、原発の問題も解
決している訳ではないですし、本質的な状況はそんなに大きくは変
わっていないのかも知れません。いつまた同じ状態になるか分かり
ませんし、インバウンドは当分戻らないでしょう。
GW後に向けて、「今、どんな方法なら集客できるのか?」「何が
お客様の心に訴えるのか」もう一度考えてみませんか?