新卒後外資系メーカーのブランドマネージャー、外資系広告会社で、
日系広告会社の買収後の運営などに関わった後、某リゾートでは問
題解決担当を勤め、現在は群馬県で旅館を経営し、旅館、リゾート
の再生コンサルタントなどを行っておるものです。
旅館と言えば、「利用したことがない」と言う方はあまりいらっし
ゃらないのではないでしょうか?
しかしながら、旅館というのは、最近こそ某リゾート会社の活躍に
よってその「経営」が注目される様になりましたが(実際には”旅
館”の経営が注目されているか?には疑問もありますが)よく分か
らない、何だか不思議な存在なのではないか?と思います。
私が、東京の外資系会社で働いていた眼、と現在旅館を経営してい
る旅館の現場を知る眼の両方の眼を生かして、ご自身の旅館を何と
かしたい方、旅館を再生したい方、旅館を買収したい方、旅館に勤
めたい方、等に有益な情報をお伝えしたいと思います。
まず最初の数回は、ここのところニュースを賑わしている「就職
難」を考え、「職場としての旅館」という視点から旅館を考えてみ
たいと思います。
「職場としての旅館」の特徴は「事業所としての旅館」の特徴と重
なる部分が多いと思います。(すべての旅館に当てはまる訳ではあ
りませんが)
それは
1. 家業である(ことが多い)
2. 中小零細、チェーン化などとは無縁
3. 営業時間が長い(24時間?)
4. 田舎に存在する(ことが多い)
5. 設備負担が大きい(装置産業である)
6. 数が多い(競合が多い)
7. 季節変動が大きい
等だと思います。
勤めたい、就職先の候補にしたい、とお考えの方は、この特徴を見
てどう思われるでしょうか?
もちろん、「上記に当てはまらない旅館(Hリゾート?O温泉?I
園?Kメンテナンス?)に勤めたい」というのもありかも知れませ
んが、数は非常に限られていますし、市場、競合が上記の様な状態
の中で一般企業の様な運営を行うのは並大抵のことではない、と思
います。
実際に、某リゾートでも、部門によっては、夏の1ヶ月は休み無し、
とか、中抜けシフトになっている(後ほどご説明致します)とか当
たり前の様にあります。
この3に関連する「中抜けシフト」は旅館の特徴であると思います
ので、今回はこの「中抜け」についてもう少し詳しくご説明します。
旅館のお客様は、
1. 来館(チェックイン)
2. 食事
3. 風呂
4. 就寝
5. 朝食
6. 会計(チェックアウト)
と言う流れで、過ごされることが多いと思います。
ここで、旅館に人手の必要なのは
1. 2.4.5.6であり、
時間的には、15時ー20時と朝の7時ー10時に集中しています。
ある程度以上の規模の旅館では、従って、10時ー15時位までは
仕事があまり無い(特に部署によってはほぼ全くない)のです。
昼食を行っているとか、客室の清掃を、館内の他部門のスタッフが
行っている、とかでない限り、仲居さん、フロント、調理の方など
は、この日中の時間にやることがないのです。
そこで行われるのが「中抜け」です。
1日の勤務時間を朝7時ー10時、
午後15時ー20時にしてしまうのです。
これで8時間です。
多くの旅館で行われていることです。
次回は、この「勤務時間の長さ」について、さらにお話ししたいと
思います。