みなさん、こんにちは
旅館の特徴と、職場として考えたとき、それがどうなのか?と言う
お話の続きです。
今回は、「家業であること」「中小零細であること」について考え
たいと思います。
旅館の多くはいまだに「家業」であることが多いのです。私の関わ
っている群馬県北部の温泉地でも「ほとんどの温泉旅館」が家業で
経営されています。
家業で運営されていること、中小零細であることは、職場としてど
んな影響があるのでしょうか?
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①経営が不安定?
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一般的に中小企業は収入源が限られているため、不安定と考えられ
ています。
しかし、旅館業は、大手であっても中小であっても基本的には「個
人客」を相手にする商売なので、集客を圧倒的に特定の旅行代理店
に頼る、など行っていない限り、景気に左右されることはあっても、
特定の取引先に左右されることは少ないと言えます。
昨今の製造業の様に、取引先の海外移転によって売上が吹き飛んで
しまう、と言うようなことはありません。
また、旅館業は家業、中小にしては「大きな資産を持って運営して
いる」(=大きな負債を持って運営している)と言えます。それな
りの規模の旅館は数億円の投資=借金をしているはずです。
一方で、現在行われている「収益還元法」(不動産の価値ではなく、
施設が生み出す収益によって価値を判断する)によって旅館の売買
を行うと多くの旅館は収益ゼロに近いので、とてつもなく安い価格
をつけられることになります。
実際に客室数50室前後の著名温泉地の旅館でも、古いものは東京
郊外で普通のサラリーマンが購入するマンションの価格程度にまで
下落しているところもあります。
ということで、「借金は大きいし、今のままでは完済の見込みは少
ないが、処分しようにも処分価格が低すぎる」のが、旅館に対する
銀行の印象ではないでしょうか?温泉地の金融機関はこうしたとこ
ろに貸し込んでいますので、動きがとれない、と言う状態です。
従って、一部の旅館を除くと急に旅館が破綻する可能性は(実際に
破綻状態であっても)少ないと言えます。
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②オーナー次第?
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家業ですので、オーナーの考え方一つですべてが決まると言えます。
(これは、別に旅館に限ったことではないのですが)
現在の旅館のオーナーは、群馬県北部で言うと、代替わりしている
ことが多く30代ー40代の方が増えています。
代替わりしたオーナーは、多くの場合、大学で専門の勉強をなさっ
ていますが、「人を把握できない」ことが多く苦労する様です。
職場として考えると、この「オーナーとあなたがうまくやれるの
か?」「オーナー自身が経営者としてどうなのか?」(今ダメでも
育つ可能性もありますが)が、その旅館の将来を左右するといえる
かも知れません。
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結局は他の職場と変わらない?
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旅館は確かに中小企業が多いのですが、資産が大きいという利点
(欠点?)があり、借金が大きいという欠点(利点?)があります。
これは市場に出入りする(参入、退場する)障壁が高い、とも言え
ますが、最近では前述の様に旅館の価格が下落しているので、以前
と同じようではないかも知れません。
もちろん他の業種も中小であれば、同じように利点、欠点があると
思います。
また、オーナー次第というのも、オーナー企業であれば多かれ少な
かれあることです。
ということで、「家業であること」「中小零細であること」につい
ては、旅館だから、といって大きな違いは無いかも知れません。
次回からは、旅館のマーケティング上の特性についてお話ししたい
と思います。