今回はスパアンドトリートメント来月号に載せる予定の原稿のさわりをちょっと。
スパを開設するときに考えるべきなのは「スパに何を求めるか」です。
結構多くの方が「スパを設置すると女性客が増えるらしいよ」などと考えるのですが、実際にはそんなに劇的にお客様が増えるのは希です。
今回はその理由の1つをご説明したいと思います。
5年前なら「スパがある」と言うことだけで集客出来たのかも知れませんが、現在ではスパは多くの高級ホテル、旅館の必需品となっていて「スパがある」こと自体は差別要因になりにくくなっています。
そこで「差別性のあるスパを作れ」と言うことになるのですが、これが難しいのです。「差別性」の元になるのは、「お客様が認識出来る差」です。お客様に分からない差は、差ではないのです。知覚品質などと言いますが、差、というのは知覚、認識される「差」のことで、成分を分析したりした結果のことではないのです。スパに当てはめると、お客様に違いの分からない精油の品質やトリートメントのコンセプトで「差」を訴えても、お客様には「差」と認識されないのです。
また私たちがお客様に施設を訴求する方法も限られています。雑誌、ウェブなどの平面媒体がその中心です。みなさんも重々ご承知の様に、雑誌で「地味な料理のおいしさ」を伝えるのは困難です。「素材の味を生かした」と「活字で書いた」ところでたいした訴求力はないでしょう。そうなると勢い「写真に写ったものの豪華さを競う」様な感じになってしまいます。
スパが豪華な施設を競っているのは、実はこれと同じ事情があるのです。トリートメントの中身は伝えにくいから、新奇なトリートメントを導入したり豪華な施設を売りにしたりするのです。
でも結局はみんな同じ土俵で戦うので、ダントツに豪華だったり目新しかったりしないと差別化は出来にくくなってきています。
それでもスパを差別化していきますか?