プロダクトアウトとマーケットインについては、旅館の様な商品はプロダクトアウトで良いのではないか、と書きました。
プロダクトアウトが良くないのは「消費者のことを考えない」からなのですが、消費者のことを考えたプロダクトアウトがない訳ではありません。
消費者のことを考えないプロダクトアウト発想の結果として、最近目立ったのは、あの「セブンアンドアイ」の看板ではないかと思います。
IYグループ(イトーヨーカドー、セブンイレブン、デニーズなど)が看板を一斉に「セブンアンドアイ」に変更してしまいました。全く同じ形式の看板です。これで私たちは、あの「セブンアンドアイ」の看板の下に「コンビニ」があるのか「ファミレス」があるのか分からなくなってしまいました。
店の看板と「道路沿いにある、広告、認知アップを目的とした看板」は違うのだと思います。
行ってみたら、違う店であっても、グループとしての来店可能性は同じ、と言うのかも知れませんが、私たちとしたら、7-11があると思って行ったら、デニーズだった、というのは、どうなのでしょうか?
こういうプロダクトアウトは良くないのかも知れませんが、一方で、皆さんの持っている資源を最大限活用して、お客様の要望にお応えしようというのは、とても良いことですし、売り上げアップに繋がるのではないかと思います。
このプロダクトアウトで気をつけなければいけないのは、「現状のお客様をターゲットだと思ってしまって、可能性の芽を摘んでしまう」ことです。今皆さんの旅館に訪れているお客様がターゲットであるとは限らないのです。今までの考え方とは一歩離れて、新しいお客様のことを考えなければなりません。
「そんな人いるの?」と思うかも知れません。でも、日本の世帯数をご存じですか?
2005年で4678万世帯です。
1万で良ければ、4678分の1、
0.02%で良いのです。それでも1年間あなたの旅館を満室にする位の規模ではないですか?
マスマーケティング(TV広告したりして、ものすごく多くの人を対象にするマーケティング)がマーケティング理論を推進してきたのですが、これからの旅館は本当に小さいマーケットを対象に勝負すべきであると思います。
小さいことは良いことです。位の気持ちで考えませんか?今までのことは「今まで通り」やりながらでも大丈夫ですから。