日本の旅館が危機に瀕しています。

昨日も、関東周辺の名旅館が売りに出されている話を聞きました。その旅館は楽天、じゃらんなどを見ると接客の評判もよく、5点満点で4点以上、また行きたいという声も多数あるなど従業員の方が一生懸命接客している様子がわかる評価でした。

昭和の始めから営業しているこの旅館も多額の負債を抱えて、売りに出されているのです。

「何で、評判が良いのに」と思いましたが、理由はすぐにわかりました。
「団体旅行時代の施設の遊休化」です。この旅館には団体旅行の遺物の「宴会場」が3つもありました。面積にして標準客室10室分位です。

借金で作った施設というのは、実は「お金を払って借りている」のと同じことです。全体の面積の20%を占める宴会場を「たまにしかつかわないのに」お金を払って借りているのです。また、宴会場以外にも「カラオケ」「マージャン」など、いったいいつ使うのだろう?という施設がたくさん残っています。
そしてそういう施設には手をつけないで、新たに「スパ」「露天風呂つき客室」などを借金して増やしていきます。お金が回らなくなるわけです。

気の毒なのは、旅館の皆さんです。評判のよい接客をしながら、団体旅行時代の過去の栄光に引きづられているために、今となっては大して必要ではない施設にお金を払って、自分たちの給与を削っているのです。

もちろん、団体が入ったときの「効率的な儲け」の幻想をなかなか振り切れないのは当たり前です。そんなことが簡単にできるのなら、こんなに日本旅館の状態は悪くなっていないはずです。

だから、目の前の日銭をちゃんと確保しながら、だんだんに方向転換していくことが必要なのです。
物事には「慣性」というものがあります。今までやってきたことは簡単には変えられないのです。だから、成功体験を積みながら、少しずつ変化していかなければなりません。

少しずつ、確実に変化していけば、大きな投資をしなくても必ず何とかなるものです。

みなさん、一緒に始めませんか?